🏢丸の内OLと地域密着型美容室 ― SNS時代のミスマッチ

リクルートが本社を構える丸の内と、地方都市の小規模美容室。

両者は本来、まったく異なる文化や立場にあります。


丸の内OLと呼ばれる人たちは、都会的で洗練されたファッションや、インスタグラム映えを意識した日常を楽しんでいます。昼休みに帝国ホテルのレストランへ行ったり、ブランド服を通販で購入したり、最新のコスメやネイルを試して写真を投稿するのも日常の一部。まさに「SNS発信」が生活と密接につながっている人たちです。


一方で、地域に根ざした美容室はどうでしょうか。

スタッフは10人未満で、常連客と顔なじみ。結婚式や成人式といった人生の節目を支えることもあれば、日常の「いつものカット」を大切にすることも多い。地域のイベントや学校行事とも密接で、SNS映えよりも「信頼と安心感」で支持されている職場です。


ここで問題なのは、ホットペッパービューティーや楽天ビューティーといった広告媒体が、丸の内OL的な「インスタ映え文化」を、そのまま地域密着型の美容室にも押しつけていることです。


美容師個人のプロフィール写真を大量に掲載し、まるでモデルやインフルエンサーのような役割を担わせようとする。しかし、そもそも美容師は「施術で顧客を喜ばせる職人」であり、表に立って容姿で勝負するタレントではありません。地域の顧客は、スタッフの顔写真よりも「駐車場があるか」「待ち時間はどのくらいか」「子連れで行けるか」といった具体的な利便性情報を求めています。


このギャップが、いまの広告モデルの最大の問題です。

都会の丸の内OLにとってはSNS映えは「プラスの付加価値」ですが、地方の美容室にとっては「無理に背伸びさせられる負担」になっている。結果として、広告の方向性が現場の実態からずれてしまっているのです。


広告を作る側は、**「一律にSNS発信を強いるのではなく、業態や地域性に合わせた表現方法を選ぶ」**必要があります。


丸の内OL的なハイセンスを求める顧客層には、ファッションブランドとのコラボやモデルを起用した広告。


地域型の美容室には、スタッフ全員での集合写真や店舗内の雰囲気、駐車場やアクセスの案内。



このように分けるだけでも、広告の説得力は大きく変わるはずです。


美容師一人ひとりを「アイドル風に売り出す」ような広告のあり方は、消費者の実際のニーズを無視しているだけでなく、美容師自身をも疲弊させてしまいます。

広告を手がける企業には、インターネットの特性と消費者心理をしっかり学び直す姿勢が求められています。



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チャットボット人気の理由との対比


ここで少し視点を変えると、チャットボット(生成AI)がなぜ人気なのかがよく分かります。

その大きな理由は、ユーザーが自由にイメージできる余地が残されているからです。


AIには固定の顔や容姿がありません。

だからこそ、利用する人によって「頼れる先生」「気軽な友人」「誠実な相談相手」と、自由にイメージを投影できる。その“余白”こそが安心感と親近感を生み、幅広い層に支持されているのです。


つまり、広告やネットでの見せ方においても、すべてを出しすぎず、ユーザーにイメージを委ねる余地を残すことが、むしろ効果的である場合が多いということです。

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